がん特集ページ

自分でお乳を定期的に触診して乳がんを早期に見つけましょう

昨今、有名人で乳がんになった方の話題が良く聞かれます。このように話題になった時期には、お乳のしこりに自分で気づいて当院外科へ来院され、乳がんと診断された方が何人も続きます。このような方の乳がんは2cm以下の小ささで、わきの下のリンパ節への転移もなく、再発の可能性が少ないものが多い傾向があります。このことは、自分のお乳にしこりがないか触って調べる習慣をもつことにより、いかに早期の乳がんが見つかる確率が高くなるかを示していると思います。

乳がん検診を受けましょう

日本の乳がん検診の受診率は欧米の4分の1くらいで、対象となる人のうち20%程度しか受診されておりません。柏原市では満30歳以上の柏原市民の方であれば無料で乳がん検診を受けることができます(お問い合わせは柏原市健康福祉課072-973-5516まで)。当院では柏原市健康福祉課を介して柏原市民の乳がん検診を行っております。

乳がんの手術でも乳房を残せることがあります

乳がんの大きさや乳首と乳がんの距離によっては乳房全体を切ること(乳房切除術)をせず、がんとその周囲の正常乳腺を一塊にとること(乳房部分切除術)で乳腺の多くを残せることがあります。ただし乳腺を残した場合は、再発予防のために術後に放射線照射を行います。当院では日本乳癌学会の指導医が手術を行っております。

わきの下のリンパ節は一部だけとることですむことがあります

乳がんはわきの下のリンパ節へ転移することが多いので、以前は必ず切除しておりました。わきの下のリンパ節を切除すると、切除した側の腕のリンパ流が悪くなるため、人によっては腕が腫れることがあります。これを防ぐために、「センチネルリンパ節生検」という方法が開発されました。「センチネル」とは「見張り」のことで、乳がん細胞がリンパ流に乗って流れ、最初にたどり着いて転移するリンパ節をセンチネルリンパ節といいます。センチネルリンパ節に転移がなければ、他のリンパ節には転移していないであろうから切除しなくてよいという理屈です。手術の時に色素を打つと染まるのがセンチネルリンパ節であり、これを乳がん手術の開始後すぐに切除し、病理医が顕微鏡で転移の有無を確認します。このような方法を「センチネルリンパ節生検」といいます。センチネルリンパ節にがんが飛んでいないと診断されれば、わきの下のリンパ節の切除をしないので、腕が腫れることは非常に少なくなります。

センチネルリンパ節に転移があると病理診断された場合は、他のリンパ節にもがんが飛んでいる可能性があるので、通常どおりわきの下のリンパ節の切除を行います。また、術前の超音波検査やCT検査で腋窩リンパ節転移が腫れていることが分かっていて、リンパ節転移が強く疑われる方ではセンチネルリンパ節生検をせずに、わきの下のリンパ節を切除する必要があります。

乳がんの術後は再発予防の治療が必要です

乳がんはがんとしては比較的おとなしい方ですが、それでも術後に30%くらいの人で再発します。また手術してから再発するまでの時間も長いことが多く、術後10年間は再発しないかどうかみてゆかなければなりません。乳がんは全身病という考え方になっており、手術前から目に見えない小さながん細胞が全身に散らばっているものとして、たとえ早期の乳がんでも術後に再発予防の治療が行われます。 70%ほどの患者さんの乳がん細胞は女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の刺激をうけるエストロゲン・レセプターやプロゲステロン・レセプターという物質を持っております。手術で切り取った乳がん細胞にこれらの物質があるかどうかを病理医が判定します。これらの物質を乳がん細胞が持っている患者さんには再発予防のために、全身に散らばっているかも知れないがん細胞が女性ホルモンで刺激されないようにする飲み薬(ホルモン剤)を5年〜10年間飲んでもらいます。このホルモン剤の種類は閉経前と閉経後では違うものが処方されます。また閉経前では飲み薬とともに12週間に1回のホルモン剤の皮下注射をすることもあります。この2つのレセプターを持っていない場合は、がんの進行度によって点滴の抗がん剤を術後6か月投与することがあります。さらにHER2(ハーツウ)というレセプターが乳がん細胞に出ているかどうかも病理医が判定します。この物質を持っている乳がん細胞はややたちが悪いのですが、トラスツズマブという点滴の薬がよく効くので術後1年間これを3週間に1回点滴することが多いです。

このように乳がんの術後治療は再発予防に非常に大切であり、かつ、複雑で、日本乳癌学会が乳癌診療ガイドラインの中で細かく定めております。また、抗がん剤も日進月歩で、次々と新しい薬が開発されるのでガイドラインも短期間で改定されております。当院では術後の抗がん剤治療だけでなく、手術ができない進行乳がんに対する治療も含めて、日本乳癌学会乳腺指導医および日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医により最適な抗がん剤治療を行っております。

手術前に抗がん剤治療をする場合があります

日本の乳がん検診の受診率は欧米の4分の1くらいで、対象となる人のうち20%程度しか受診されておりません。柏原市では満30歳以上の柏原市民の方であれば無料で乳がん検診を受けることができます(お問い合わせは柏原市健康福祉課072-973-5516まで)。当院では柏原市健康福祉課を介して柏原市民の乳がん検診を行っております。

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