がん特集ページ

ピロリ菌除菌で胃がんを予防し、人間ドックで早期に見つけましょう

  • 早期の胃がんは無症状が多いです。胃がんの原因ではっきりしているのはピロリ菌、たばこ、塩分が多く野菜・果物の少ない食事です。世界保健機関(WHO)は2014年に「胃がんの80%はピロリ菌感染が原因で、除菌によって胃がん発症を30〜40%減らせる」と発表しております。喫煙や食事は自分で気をつけて胃がんに罹りにくいようにできますが、ピロリ菌に感染しているかどうかは専門の検査を受けないと分かりません。市立柏原病院では「ピロリ菌外来」という特別な外来を開いております。詳しいことをお知りになりたいかたは、このホームページの「ピロリ菌外来」をクリックしてみてください。

    ピロリ菌に感染していた場合は、病院で出される特効薬を7日間飲むことで、胃に住み着いたピロリ菌をゼロにする(除菌する)ことが可能です。一部のピロリ菌は特効薬に抵抗性ですが、その場合は違う種類の特効薬でもう一度除菌をします。 また、当院の人間ドック(ヴィゴラス)では日本内視鏡学会専門医による胃カメラを行っております。ヴィゴラスについてのお問合せは平日の14:00〜16:00の間で072-970-2300または2301へ電話をお願いします。

早期胃がんの3分の2は胃カメラによる治療で治せます

日本では胃カメラが世界一発達しているため、早期で胃がんを発見することが非常に多いことも知られています。胃がんは胃袋の一番内側で、食べ物が直接接する粘膜が最初にがんになり、がん細胞はだんだんと胃の壁の深くに食い込んでいきます。早期胃がんは粘膜までか、粘膜のすぐ外側の粘膜下組織までにがんがとどまっているものを言います。当院の最近10年間の胃がん治療例では60%近くの方が早期がんでした。がんが粘膜までと胃カメラで判断した場合は、胃カメラによる胃がん病巣の切除(内視鏡的粘膜下層剥離術、ESDと略します)を行っております。当院では日本胃癌学会の胃癌治療ガイドラインに従って治療を行っておりますが、早期胃がんの約65%はESDのみで胃がんを治療しました。ESDで切除した標本は病理医が完全にがんが取り切れているか判断しますが、95%以上は完全に切除できており、その後の定期的な胃カメラによる経過観察でも治癒していることが確認されております。がんが残っていると病理診断された場合は、速やかに当院の外科で腹腔鏡手術による胃切除を行っております。

胃カメラで治せない早期胃がんのほとんどは腹腔鏡手術で治せます

胃カメラで治療できないと判断された早期胃がんはお腹を開く手術をしなければならないのでしょうか。ほんの10年ほど前は多くの病院で早期胃がんに対しても進行胃癌と同様にお腹を20 cmほど切って胃を切除しておりました。これに対して腹腔鏡手術は、へそに1.5 cmほどの切開を入れて腹腔鏡を挿入し、二酸化炭素ガスでお腹の中をふくらませて拡大モニターで見ながら、腹腔鏡手術用の特殊な手術器具を用いて手術を行うものです。この特殊な手術器具を入れるのに0.5 cmから1.5 cmほどの切開をお腹に4か所入れます。

胃がんの7割は胃の真ん中より出口寄り(十二指腸寄り)にでき、この場合は胃の3分の2の切除を行い、胃の入り口寄り(食道寄り)3分の1は残せます。

胃がんの3割くらいは胃の入り口寄りにできますが、この場合は胃を全部切除します。お腹を開く手術と全く同じで腹腔鏡手術でも、胃の周囲のリンパ節とともに胃の切除を行い、その後で食べ物や消化液が通るように胃と腸をつなぎます。切った胃はみぞおちあたりを3.5 cmほど皮ふを切開してお腹の外に出します。このように腹腔鏡手術は小さな傷で手術がすむので、術後のお腹の痛みが少なく、退院までの期間も早いことが利点です。しかし、お腹を開く手術に比べ腹腔鏡手術の方がより高度な手術の技術と高価な専用機械が必要であり、どこの病院でも行える手術ではありません。当院では日本内視鏡外科学会技術認定医および日本消化器外科学会指導医により早期胃がんに対する腹腔鏡手術を数多く行っております。

進行胃がんや切除できない胃がんにはガイドラインに沿った抗がん剤治療が必要です

残念ながら切除できる胃がんでも40%は進行胃がんであり、この場合の多くはお腹を開ける手術が必要です。また、再発を予防するために、手術後に飲み薬の抗がん剤を1年ほど飲んでもらうことになります。進行胃がんでも完治する可能性は十分ありますので、きちんと再発予防の薬を飲んでください。 この他、切除できない胃がんや、切除しても完全に取り切れない胃がん、再発した胃がんもあり、その場合は飲み薬だけでなく点滴の抗がん剤も必要となります。どの抗がん剤を使うかはガイドラインにより決められております。当院では常勤の日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医の指導のもとで、最適な抗がん剤治療を行っております。

切除できない胃がんに対する抗がん剤治療法(胃癌治療ガイドライン2021年第6版)

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